与太郎の奏でる音楽

出来事を文字にして白地の空間に毎日投げ込む

めちゃくちゃ落語みたいなあらすじ

台風が来る、というのを全然知らなかった。
なんかいつもは何日か前からニュースなり何なりで、進路を見てそろそろ来るなぁと思ったりするのだが、その情報が上手いこと私をすり抜けていた。
もしくは受け取ってはいたけど頭の中でどうでもいいものの方に振り分けてしまっていたのか。
どちらにせよ災害に対してゆるい。いかんぞこれは。
ベランダの植物を隅に寄せたり、100均で買ったクロックスのようでクロックスではない(しかも100均なのに500円した)サンダルを玄関にしまったりした。

🩴

積読にしていた『教団X』と『年刊日本SF傑作選 行き先は特異点』を読み終える。
『教団X』はめちゃくちゃ面白いのだけど、性描写があまりにも多くて何度か止まってしまっていた。
そんなにしなきゃダメ?ってくらい官能小説みたいな性描写が多いのがちょっときつかった。
死と生→性と地続きの生であることはすごくわかるんだけど、そこまでしなくてよくない?ってくらいになんかねっとりとした描写が入ってくる。
昔から性描写が多いエンタメが苦手なのだけど、やっぱ性描写を事物として見られるようにしなきゃいけないのだろうか。
でもそれってどうやって鍛えるんだって思うと何か途方も無いというか、それよりもっと見た方がいいものあるんじゃないかという気がしてしまう。

✖️

『年刊日本SF傑作選 行き先は特異点』は、個人的に高山羽根子『太陽の側の島』がめちゃくちゃ素晴らしかった。読み終えて大満足のため息をついてしまった。
文章が流麗で読んでいて気持ちが良い。だけどその分入って来る情報が生々しくてヒリヒリする。だからこそラストで見える景色がくっきり思い浮かんで泣けてしまう。
北九州市立文学館のホームページでなぜか無料公開されているのでご興味があればぜひ。

www.kitakyushucity-bungakukan.jp

 

☀️


気になっていた映画『トゥー・レスリー』をやっと見られた。

movies.kadokawa.co.jp
素晴らしい映画だった。こういう映画に出会いたくて映画館に行っているんだ。
オープニングの写真の順番の巧さ(よく見ると指紋がついているのだ……)、曲もかっこよくていきなり掴まれてしまった。
ずーっとある落語が頭の中に浮かんでいた。多分見たらわかっていただけると思う。
っていうか「宝くじで高額当選したシングルマザーが酒で全てを台無しにし一文無しになり、トラウマしかない地元に戻り、針のむしろになりながらも再起を図ろうとするも、酒の誘惑に勝てなくて……」ってめちゃくちゃ落語みたいなあらすじだ。
めちゃくちゃ落語みたいな映画を見たい人はぜひ。