与太郎の奏でる音楽

出来事を文字にして白地の空間に毎日投げ込む

あの「あっ」が強烈なのだ

人の話を聞くのが好きなので、人と会うとついつい色々聞いてしまう。
一人の時も飲み屋などで近くの席の人の話を聞いてしまう。
顔とかは見ずに、ラジオのような感じで聞いてその人の背景を想像するのが好きなのだ。
先日行った酒場で、近くで団体の人たちが飲んでいたのだが、中々にオラオラした感じのノリで大きな声ではしゃいでいたので大学生かなと思ってついチラッと見たらめちゃくちゃ大人で、しかも私よりも年上っぽい人がほとんどでびっくりした。
どうやら同じ職場の、結婚式の帰りの集まりみたいだったが、そのお年でもそのノリの環境なんですね、と思った。
私も幼馴染と集まればそんな感じではしゃぐこともあるけど、いやでもさすがに「ウォイ!ウォイ!」みたいなコールはしないし、敢えて「あーん」で食べさせて笑いを取ろうとするみたいなことはしない。
別にこれは好みだし、人様の迷惑にならなければお好きにすればよろしと思っているのだけれど、この人たちの飲み会に行ったら自分は居場所はないだろうなと思った。

🍻

ずっと見たかった映画『アフターサン』を映画館で見られた。

happinet-phantom.com

良かった、と手放しで書けない内容なのだけど、個人的にめちゃくちゃ好きな映画だった。
8ミリビデオ映像の切り取り方や、そこに何がどう映っているか、さらにそれは今誰が見返しているのかが過不足なく、しかもさりげなく、特に何も特別なことはしてませんよという顔で超絶技巧を次々繰り広げる作品で、どのシーンも気が抜けなかった。
脚本も恐ろしく練られており、自然な会話のように見せてその人物の芯を突く言葉が織り込まれていて、それがまた気が抜けないのだ。
そして終盤でかかるあの曲とラストに至るまでのショットでぼろぼろ泣いてしまった。
映像が、というか映画が上手い。上手すぎる。
プロデューサーに『ムーンライト』を監督したバリー・ジェンキンスの名前があり納得した。
あと、見ている最中ゲームの『イモータリティ』を思い出した。

jp.ign.com


過去の映画の断片から、表舞台から消えた俳優の身に何が起こったかを暴いていくゲームだ。
このゲームは実際に触って「ある地点」まで行ってみて欲しい。
何度も見返していくうちに「あっ」となるのだ。あの「あっ」が強烈なのだ。