与太郎の奏でる音楽

出来事を文字にして白地の空間に毎日投げ込む

この音楽が響きますように

パレスチナのことを色々と調べているうちにパレスチナの音楽に興味を持った。
この国にはどんな音楽があるのだろう。
この国の人たちはどんな音楽を聞いているのだろう。
そう思って調べていたらパレスチナ出身のピアニスト、Faraj Suleiman(ファラジュ・スレイマン)氏の音楽と出会った。

As much as it takes

As much as it takes

  • Faraj Suleiman
  • コンテンポラリー・ジャズ
  • ¥1528

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Faraj Suleimanはパレスチナ初のジャズピアニストだ。

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2014年にデビューして以降数々のアルバムを発表しているが、このアルバムは特にパワフルというか、激情ほとばしるすさまじい内容だ。

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パレスチナ出身のピアニスト/作曲家、ファラジュ・スレイマン(Faraj Suleiman)の2023年新譜『As much as it takes』は、道なき道を歩んできたジャズピアニストが到達した最高傑作であり、それでもまだ無限の進化の途中段階と感じさせる驚くべき作品だ。これまでに歌での表現も試みてきた彼だが、今作は全曲がインストゥルメンタル。器楽曲で背景にある物語を想像させる余地を残すどころか、その物語が強烈な痛みを伴って襲い来る感覚すら覚えるほど。

ファラジュ・スレイマン(Faraj Suleiman)は1984年、パレスチナ北部のラマ村で生まれた。

3歳からピアノを始めてはいるものの、両親は父がおもちゃ商人、母が花屋という音楽的な環境ではなかった。唯一母方の叔父がヴァイオリンでアラビア音楽を演奏する人物であったため、幼少期はこの叔父の傍で多くの時を過ごした。

少年期は故郷の町で同世代のほかの少年たちと同じようにサッカーをして過ごした彼だったが、青年期の終わりに再び音楽に傾倒。そしてイスラエルの音楽教師アリー・シャピラ(Arie Shapira, 1943 – 2015)と決定的な出会いを果たし、音楽のみならずイスラエル人とパレスチナ人の間に横たわる様々な問題も議論する仲に。パレスチナでは周囲にロールモデルのない中で、ジャズ・ピアニストへの道を志すようになった。

2014年にソロピアノ作品『Login』でデビューし、以降毎年のように精力的に作品をリリース。2018年にはスイスのモントルー・ジャズフェスティヴァルに出演し、その模様はライヴ盤『Live at Montreux Jazz Festival 2018』で聴くことができる。

ピアノを中心としたバンド編成のインスト作品のほか、パレスチナの気鋭のジャーナリスト/詩人マジュド・カヤル(Majd Kayyal)と組んだ『Better Than Berlin』(2020年)や『Upright Biano』(2023年)といったヴォーカル作品も。さらには映画音楽を手がけるなどその創作活動は多岐にわたる。

現在はイスラエル・ハイファとフランス・パリを拠点に活動。

フランス・パリとイスラエル・ハイファを拠点に活動するFaraj Suleiman、どうかパレスチナの地にこの音楽が響きますように。

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