国立近代美術館の企画展『中平卓馬 火―氾濫』を見てきた。
めちゃくちゃ良かった。
『朝日ジャーナル』『現代の眼』『流動』など雑誌記事の写真が多く、当時の雑誌と密接な関わりがあったんだなと感じた。
プロジェクターやモニターに大きく映し出された写真よりも、当時の雑誌に掲載されている小さくて印刷精度の粗い写真の方が迫力があった。
ボロボロの雑誌そのものが持つ、何人もの人間がめくったであろう汚れや紙自体の経年変化に、何重にも重ね塗りをした油絵のような凄みがあった。
タバコの空き箱に書かれた日記から漂う狂気と、撮影不可のとある映像で持ってかれた。カメラを置き、立ち入禁止の鉄線を越えて走り去る姿が忘れられない。